店舗リフォームの重要性を確認
書式だけが示されることの多いこの種の事例集にはめずらしく書き込みのある、伊藤忠商事の「期初目標設定例」をみよう。
ここでの評価は業績が主、潜在能力が副と見受けられるが、多くは数値で示された目標の具体性がきわめて興味ぶかい。
なおこのルートによる評価は、伊藤忠では賞与の多寡に大きくかかわっている。
このような個人目標の設定をめぐるサラリーマン本人の自発性と会社の意向との関係は、MBOプロセスの最大の問題である。
この点について各社は、事例集のなかで、たとえば次のように述べる。
「組織目標を各個人の目標へと展開するのが目標面接制度における目標」である、「目標は決して押しつけではなく、当人のやる気を尊重し、自ら決めさせることにより責任感を持たせ、その完全な達成を期待するものである」が、他方、「目標の高さは「現状より少しでも前進させたもの」を基本としさらには組織としての成果につながるものとしてほしい」面接では「部下の設定した目標について修正する必要のあるときは、双方が十分に話し合い、納得のもとに修正すること」、「十分な話し合いの後、最後に本人自身で決めさせる」(日経連広報部1994)。
要するに面接で企業目標を納得させ、それに寄与する個人目標を本人の責任において決定してもらうというべきだろうか。
いかにも日本的に、ここでも自発と強制が峻別できないほどにないまぜなのである。
もうひとつ、伊藤忠の課長の場合、大幅な残業の削減が目標の一つになっていることにも注意をうながしたい。
このテーマは他社の例にもみられる。
たとえば資生堂本社では、部門ごとに目標残業時間を数値で示し、それをかなりオーバーするときは部門長に「要因分析報告」を提出させている。
この残業削減という今日的なテーマ設定は、一方では労働時間短縮という90年代の社会的要請への企業の対応であろう。
だが、他方ではそれは、事務部門におけるOA化、会議の省略、不必要な手続きの簡略化、そしてより密度の高い働き方といった合理化の拍車にほかならない。
「時間より実績」「だらだら残業するな」というわけだ。
日本のホワイトカラーがこれまで総じて「だらだら残業」してきたのかどうかは疑わしいけれども、工場のように事務所もまた、労働生産性の向上が数値的指標を伴なって追求される傾向にあることはたしかなように思われる。
実績主義の賃金さて、朝日新聞社の調べによれば、いまでは東証一部上場企業300社の43%が目標管理制度を導入している(『朝日新聞』1995年6月8日)。
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